■ 自然のチカラを信じなさい

■自然のチカラを信じなさい

【叔母の死】

▼先日のお盆に叔母が亡くなった。92歳の大往生だった。お盆の朝方、トイレに立った際に倒れたそうだ。すぐに救急車で病院に運ばれたが「クモ膜下出血」で手術も不可能だと言われその日の午後には死亡した。お盆で子供や孫の多くが帰省しているときに急性の脳内出血で長患いもせず親族に見守られながらの臨終を得たことは本人にとっても家族にとっても苦労の少ない幸せな人生の幕引きではなかろうか。

▼思いおこせば叔母が尋ねてくるときはいつも私に身体のことを相談していた。あるとき足の親指の撒き爪が痛くて困っているが何かいい方法はないかと私に尋ねたことがあった。親指の撒き爪は多くの場合、歩き方、つまり重心のかけ方に問題がある。親指に力を入れて歩くようにすれば自然と治る場合が多い。そのために鼻緒の付いた草履などが勧められるが、そうすると自然と親指に重心が掛かるようになるので親指の撒き爪は回復することが多い。しかし叔母の場合は撒いた爪と皮膚の間が隙間がなく詰まっていたため私の信頼する医者へ連れて行った。


【医師の死 

▼その医者は皮膚科が専門で漢方の名医でもあった。簡単な爪の切除処置をして薬を処方したが、その後、叔母は経過がよく、ことあるごとにそのときのことを感謝してくれた。それからしばらくしてこの医者が亡くなった。享年62歳だった。調子が悪いことは直接聞いていた。母子感染と思われるC型肝炎による進行が進んだ肝硬変とのことだった。あらゆる西洋と漢方の医学知識と技術をもってもかなわなかった。最近、先生の著書を手にとって読み返してみたが、本当に名医だったなあと故人を偲んでいるところである。



【アーユルヴェーダの新薬】 

▼私は長らくインド医学のアールヴェーダと関わっているが、最近アーユルヴェーダの新薬について情報を集めてみた。するとインドのアールヴェーダ製薬会社の老舗からB型肝炎の特効薬が販売されていることを知った。次のような効能が書かれている。【効能】 『この天然成分はB型肝炎表面抗原(HBsAg)を抑え、逆転写酵素抑制によってB型肝炎ウイルス(HBV)を除去します。慢性のB型肝炎感染症においてはウイルスの総量を減少させます。実際に6ヵ月の継続服用の結果、ウィルスの総量が減るという好結果が得られています。 【用法・用量】 医師に相談のうえ服用して下さい 【副作用】 ありません。』と書かれている。

■アーユルヴェーダの新薬


【医学は自然科学ではなかったか】 

▼ときどきふと思うことがある。現在の医学・製薬と言うのは何故にかくも化学に頼るようになったのだろうかと。そもそも医学と言うのは人体と環境という相関の自然の構造と機能を科学し、それを解剖学と生理学に基づき病態を解明し、治療法を開発する自然科学である。しかしながら現在は検査法、治療法、薬学どれにおいてもずいぶんと化学(ケミカル)の依存へと様変わりしたものだと思う。

以前にも寄稿したが、医学の進歩に反比例するように院内感染が増え、スーパーバグと呼ばれる薬剤では死滅しない新生物が増えている。その原因は化学的に作り出した薬剤で生き残った生物が自ら遺伝子を組み替え、その薬剤では死なない、耐性と持つさらに強力なミュータント(変性生物)の子孫を生み出す連鎖があるからだ。ゴキブリと殺虫剤の関係が「いたちごっこ」といわれる所以である。これについては以前の寄稿 ■ スーパーナンキンムシが教える人間の化学物質依存への警告  でご紹介しているので参考にしていただきたい。

■自然のチカラを信じなさい



【なぜ自然医学に信託をおくのか】 

▼さて話をアーユルヴェーダの新薬に戻すと、私が長年アーユルヴェーダに信託をおいているのはそれが人間も環境という関係、健康と病気という関係、そして予防と治療という関係がすべて自然界の生態系プロセスに反しないからである。その証拠が先に紹介した新薬である。肝炎ウイルスも人も同じ自然の生物個体であり、その関係は寄生主と寄生者であり、その治療法は自然の生薬を用いて寄生者の働きを押さえ、寄生主の抵抗力・治癒力を賦活(活性化)させることで人の病気の進行を止め回復させようとする自然の生態系プロセスに従っているからである。

このような自然の方法をとる限り、寄生者である肝炎ウイルスは耐性をもったミュータント(変性生物)に変化することはないし、寄生主である人は副作用で生活の質(QOL)を下げることのない治療で回復の可能性が高まるのである。

▲私たちはあまりにも安易に化学物質を体内に入れることをに慣れてしまっていますが、その多くは身体と言う自然環境の中では解毒できないと考えるべきです。身体と言う自然環境を守ることが医学の本質と言えるのではないでしょうか?私は今後もそのような医学に信託をおきたいと思っています。

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