■ 体内に仕掛けられた時限爆弾との終わりなき戦い【3度の核被爆を経験した日本】

NO MORE NUCLEAR


【2度の核被爆を経験した日本】

▼8月6日、広島は68回目の原爆の日のを迎えた。広島市中区の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が開かれた。今年は被爆者や遺族を含め約5万人が参列したという。原爆投下時刻の午前8時15分には「平和の鐘」が打ち鳴らされ、参列者全員が黙とうをささげた。私はテレビの前で黙祷した。慰霊碑にはこの1年間に死亡、または死亡が確認された5859人の名簿が納められ、広島の原爆死没者は28万6818人となった。

NO MORE NUCLEAR



▼同日、「終わりなき被爆との闘い~被爆者と医師の68年~」とタイトルのNHKスペシャル番組が放映された。ご覧になられた方も多いとは思うが私はこの番組を見ながら改めて核の放射線の恐ろしさと人類史上最悪の発明であることを再認識した。
原子爆弾も原子力発電も同じ原理を利用するものとして発明され、前者は兵器として大量殺傷だけでなく紛争の抑止力(?)に利用され、後者は世界中で発電に利用されている。そして昨日の8月7日には「福島原発の汚水、一日300トンが海へ流出 経済産業省が試算」と題した報道がされたばかりだ。

NO MORE NUCLEAR

Hiroshima A-bomb, 1945.08.06, 08:15 AM

NO MORE NUCLEAR

Nagasaki A-bomb, 1945.08.09, 11:02 AM

 
NO MORE NUCLEAR

Fukushima Nuclear PP-bomb, 2013.03.11, 13:25 PM


【放射能という見えないナイフによって傷つけられる遺伝子


▼さて話をテレビ番組に戻すと、原爆投下から68年の今、被爆者の間で「第2の白血病」と呼ばれる病気になり、亡くなる人が増えている。原子爆弾が爆発した時放出された放射線によって傷つけられた、幾つもの遺伝子の傷。その一つが、今になって発病に至ったと考えられる。

放射能は「見えないナイフ」と称される。そのナイフが傷つけるのは遺伝子の中の染色体、なんと!放射能は染色体をナイフのように切り刻むのだと言う。原爆爆心地に近い場所で被爆した人はいわゆる「急性障害」という症状によって早い段階で無くなっているが、その死のメカニズムが遺伝子研究の結果、明らかになってきた。

Gene

▼なんと!強い放射線は身体の多くの細胞の中の遺伝子をまるで鋭いナイフで切り刻むように23対ある染色体をバラバラに切り裂く。通常、染色体は細胞分裂をしながらコピーを繰り返していくが、傷付けられた染色体はミスコピーを繰り返し、やがて異常細胞としてガン化する。しかし「急性障害」のようにその傷が致死量を超えると細胞は自ら「修復すること」を諦め、「自滅することを選択」する。

細胞が連鎖的に自滅していき、やがて死を迎えるのだと言う。細胞が自らの意思で自殺(自滅)する機能は「アポトーシス (apoptosis) 」と言われ、通常はガン化された細胞(異型細胞)が身体に発生したときに、この機能によって自然に排除されるようになっている機能である。しかし強い放射線を大量に浴びた細胞は明確な意思を持って個体の主人である人の生ではなく死を選択させることがわかってきた。

Chromosome

体内に仕掛けられた時限爆弾
▼さらには何故被爆から50年以上も経た頃に多種の固形ガン(臓器のガン)や血液のガンである「第2の白血病」と呼ばれる多くの被爆者に発症するのかも解明されようとしている。なんと!それは体内に仕掛けられた「時限爆弾」なのだった。被爆者の遺伝子には、被爆の瞬間、いわば幾つもの「時限爆弾」が遺伝子に埋
め込まれ、それが次々と爆発するように発病していることが、広島・長崎の医師たちの長年の研究でわかってきた。

被爆から10年後にピークを迎えた、「第1の白血病」、そして50年以降にピークを迎えようとしている「第2の白血病」。それはまさに時限爆弾なのである。番組の中で被爆された人が70歳を超えて白血病を医師に告知されたとき、「ついに来たか」という言葉が印象的だった。

Chromosome


▼このように放射能による汚染は直接、間接的に人体を障害に渡り蝕むことになることが明らかになってきた以上、もはやその目的が何であれ、原子力そのものの利用をこの世から根絶すべきだ。そして「自分には関係ない」、「私が生きている間は現状維持でいいだろう」、「原子力発電は必要悪」などなど、もう言い訳にならない


やがて困るのは私たちの一人一人の子供や孫なのだから。唯一の原子爆弾被爆国で、しかも原発事故という「第2の被爆」までした日本と日本人以外に誰が世界に核廃絶の声を上げる国と人が他にいるはずがない。

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