■ 地方サムライの一流思考に学ぶ

【地方にあっても俺流で成功できる】
洋菓子激戦区の神戸から25キロも離れているにも関わらず、全国から一日に3000人もの客が訪れる人気ケーキ店が兵庫県三田(さんだ)市にある。その長い行列の先にあるのが「パティシエ エス コヤマ」。毎日売れ切れ続出の「小山ロール」など人気商品を次々と生み出す店だ。そのオーナーパティシエが小山 進(こやま・すすむ)氏だ。1店舗ながら自分流経営で年商15億円を稼ぎ出す地方のサムライだ。
店に着くと広がるのは、小山が8年間かけて造り上げた、木々に囲まれた、まるで異空間のような庭。「非日常を演出」することで、訪れた客を小山の世界へといざなうのだ。
商品には、地元でしか味わえない、こだわりの食材を使用。ここは様々な仕掛けが満載の、小山の「スイーツのテーマパーク」なのだ。


【世界が認めた地方のサムライ】
この地方のサムライが今秋10月、満をじして世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」に出展。自分の感性と腕を信じて世界に挑戦した。出展しているのは、海外で有名なチョコレート職人ばかり。その中で「海外修業経験なし」、「初出展」の小山のショコラは、チョコレート版「ミシュラン」ともいえる品評会で、なんと最高格付けの5タブレットを獲得。さらに「外国人最優秀ショコラティエ賞」も受賞した。一体、世界の人々はこのサムライの何に魅了されたのか?
今回小山は、「日本の伝統」をテーマにしたショコラを出品。京都で生まれ育った小山は、子供の頃から慣れ親しんだ食材をチョコレートと融合させる挑戦をした。それらは味噌、醤油、抹茶、大徳寺納豆、わさびなどを選んだ。味噌を牛乳で伸ばしチョコと合える。これらの食材選びは決して奇をてらった戦略でも、またユニークさで勝負をしようという発想でもない。
小山は真剣に真摯に日本の伝統食材と西洋の食材を核融合して未知なる美味しいスイーツを開発しようとしたのだ。それが小山の言葉に隠されている。曰く、「日本人として世界のチョコレートの祭典に出展する限りは、自分が日本の伝統文化を全部背負っているのだと思っていました。」 考えに考え抜き、試行錯誤を繰り返して開発した未知のショコラはこうしてついに世界の舌を魅了した。
【技術だけでは成功できない】
物というものはいつか人に飽きられてしまう。だから飽きられることを想定してものを作り続ける。自分がその商品を1年間飽きずに食べれる商品作りを目指している。自分が一番厳しい客としてその商品を見ている。
小山は、技術だけに固執しない、「個性を引き出す」人材育成にも力を入れている。日々の努力を大事にすることで、成果につながると考えている。その一つが「報告書」だ。社員は毎日、小山にその日一日の報告書を出さなくてはならない。小山はこの報告書に、もの作りの職人には欠かせない「感動」を求めている。
社員の職人はいつか独立する。技術だけあっても独立して成功はできない。独立する彼らには必ず成功してほしい。だから彼らには自分が知っていることはすべて教える。ものづくりとは自分の思いを人に伝えること、つまりお客様に伝えることなのです。これが技術以上に大切なこと。その練習のために報告書を提出させ、それを添削する。今日一日の自分をまとめて人に伝える。この継続が自信につながると思っています。
【小山さんの一流思考に思う】
私も地方に住んで小さなビジネスを行っている端くれですが、小山さんの生き方にはポジティブ思考というよりは、一流思考というも呼べる思考習慣の大切さを改めて再認識しました。
かつて小山さんは神戸の洋画店に職人として就職。皿を洗っているときも、「今、世界で俺と同じように皿を洗ってい人が沢山いるはずや。そんなら世界一の皿洗いになってやるんや。」と思いながら仕事をしたという。やがて社長命令で営業に移動辞令が。しかし彼は腐らない、与えられた仕事を楽しむことを考える。
この一流思考こそ自分という資産を最大限に活用する思考ではないだろうか

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