あなたの症状はヴァータ・シンドロームかもしれません

■ あなたの症状はヴァータ・シンドロームかもしれません

【ヴァータ・シンドローム(Vata Syndrom)
 
アーユルヴェーダを勉強された方はヴァータという言葉をご存知だと思いますが、今回はヴァータ・シンドロームについて投稿をいたしました。その理由はヴァータをより正しく理解することは健康のみならず仕事にも大変有益だからです。
 
実は私の友人でドイツ人のアーユルヴェーダ専門家がいます。彼はすでに多くの著作を世の中に出しているのですが、その中の一つに「ヴァータ・シンドローム」というドイツ語で出版された著作があります。日本語に訳せば「ヴァータ症候群」となりますか。彼はこの著作の中で多くの不快な症状がヴァータを原因としていることに言及し、その解決法を教えています。
 
彼の元には読者よりしばしばメールが届き、読んだ感想や質問などが寄せられるそうです。中には実際に彼に直接会いに来てカウンセリングを受ける人もいるそうです。その中から彼から直接聞いたエピソードをご紹介したします。
 
Das Is Vata Syndrom
Das Vata Syndrom
 
彼の著作を読んだドイツ人の女性より連絡がありその書かれている内容と自分が長年悩んでいる症状が正にヴァータ症候群と一致するというのです。彼女は何度も医師の診断を受けましたが一向に改善は見られず長年悩んでいたのです。その彼女は彼のカウンセリングを受けその処方箋に従うと次第にその症状は良くなったというのです。その症状とはいわゆる心と身体の反応が一致せず意に反して身体が拒否反応を起こしてしまう症状でした。


 【ヴァータとは】

 
アーユルヴェーダは医学ですのでアーユルヴェーダ解剖学、生理学、病理学があります。これは西洋医学とはかなり違うものですが、その独自の理論をもとに実際に診断や治療が行わ、その成果が出ているということは、元になっている理論が正しいという証明になります。西洋医学が採用している科学的手法が違うからといってアーユルヴェーダが科学的ではないという論法にはなりません。アーユルヴェーダ生理学にはドーシャ理論という、いわゆる体質理論がその基本になっています。ヴァータとはこの身体の生理機能を構成している一つの働きになります。
 
食事を例にすると食物は口で咀嚼され、胃で溶かされ、小腸で必要な栄養分を吸収し、大腸で便を形成して排泄されます。ヴァータはこの生理機能の中で異化作用という役割を担っています。つまり食物の中で吸収すべきものと排泄すべきものを分ける働きとなります。ヴァータは活性酸素、神経系、収縮、乾燥、体温調節などの生理的役割もあるので、例えばそれが増加すると皮膚では乾燥としわと冷えが増し、大腸では便の水分が失われるため便秘になり、活性酸素が増えることで細胞と組織を傷つけ、また自律神経失調にも大きく起因しています。アーユルヴェーダ病理学では病気の多くはこのヴァータの増加が原因による疾患であると言っています。
 
【似たものが似たものを増やす】
 
これは似ている性質は似ている性質を引き寄せるという宇宙法則をアーユルヴェーダが人体にも応用している引用句です。例えて言えば、空調(クーラーやヒーター)の部屋は湿度が低いため乾燥が高く、その中で毎日、長時間、長年仕事を続けるだけでヴァータの性質である乾燥と収縮を増加させます。その結果、皮膚の乾燥とシワが増える、唇の乾燥によるひび割れ、腹部にガスがたまる、頭髪の乾燥と脱毛が増える、足元と頭部の温度差により冷えやほてりを感じます。
 
さらに仕事での精神的ストレスが加わると体内のヴァータはさらに増加します。その結果、集中力や注意力の低下、せっかちになる、悩みや不安を感じる、生理痛、頭痛、腰痛、関節痛、神経痛などの痛みが増すなどの具体的な症状が出るようになります。これらの不快な症状は病院で検査をしても原因が分からないでしょう。なぜなら組織や臓器には異常が発見できないからです。本人は不快な症状に苦しんでいるのに病気ではないと診断されてしまうことが多いのです。
 
しかしその症状を軽減、あるいは止めるための処方箋として薬が処方されるかもしれません。薬を処方するためには病名を付けなければなりません。そうしないと薬事法に抵触するからです。病気で無いのに薬を処方することはできませんからね。このようにヴァータが増加して機能亢進、つまり機能障害を起こしている場合には薬(化学製剤薬)はさらに体内のヴァータをさらに増やすことになります。症状を改善するためには薬の服用ではなく、生活習慣の中でヴァータを増やしている原因を探し、ヴァータを増やさない生活に変えることが本当の処方箋となります。
 
このような健康カウンセリングはアーユルヴェーダのドーシャ理論を十分に理解して実践を積めば自分自身と家族のために役立てることが可能です。そしてこのようなカウンセリングの出来るアーユルヴェーダ産業カウンセラーこそ今最も必要とされている職業だと思います。先に紹介したドイツ人のアーユルヴェーダ専門家も私と同じ意見でアーユルヴェーダ産業カウンセラーの育成に尽力したいものだと熱く語ってくれました。

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