テコの原理を人生の成功に応用する

■テコの原理を人生の成功に応用する The Applied principle of the lever

テコの原理を人生に応用できるのか

テコの原理とはその原理を利用して重いものを軽い力で動かすことができる物理法則です。これによって軽い力で大きな仕事量を得ることができます。このテコの原理は人生に応用できないのでしょうか?今回はその秘訣を探ってみようと思います。


テコの原理(3つの点のバランス)とは


テコの原理を利用するには3つの点が必要です。それは支点・力点・作用点の3つです。それぞれ力点は力を加える点、作用点は力が働く点、作用点はおもりなどの負荷をつるす点です。例えば支点と力点間の長さが支点と作用点の長さの2倍であれば、得られる力は加えた力の2倍となります。つまりテコの原理を用いて最小の力で最大の仕事を得るためには支点を最適な位置にするということです。
梃子(テコ)の原理と3つの点
このテコの原理は人生に応用するとしたら、支点・力点・作用点を例えばそれぞれ視点、投資、結果に置き換えて見ればどうでしょう。つまり視点をどこに置くかで小さな投資(金・時間・労力)で大きな成果を生むことができるはずです。
テコの原理の利用して日本一の大金持ちになった歴史上の人物

淀屋常安(よどやじょうあん)は江戸時代に大阪に存在した豪商で、その資産は現在の100兆円とも言われます。日本歴史上空前絶後の大商人なのです。その名を知らなくとも淀屋橋は誰でも知っていますよね。それは淀屋が治水工事で作った橋でした。まずは淀屋の有名な逸話をご紹介します。

1594年、秀吉が築城した伏見城の建設完成間近に切羽詰まった問題が浮上しました。それは高さ7m、幅14mとの巨石が出没し工事が止まったのです。この日はなんと秀吉が決めた建設完成予定日の2日前だったと言います。この巨石を撤去するには当時のお金で500貫、今の価格で5億円と1000人以上の人夫が必要だと見積られました。

そこで急遽、業者選定の入札が行われました。当時、淀屋は大阪に来たばかりで実績もない業者でした。伏見城の建設業者ではありませんでした。入札では他の業者が500貫という同じ見積額を入れましたが、淀屋はその10分の1の50貫、つまり今の価格で5000万円で落札したのです。

淀屋常安(よどやじょうあん)(出生年不明-1622)
さて工事当日、淀屋の失敗を笑いものにしようと他の業者関係者が集まったといいます。僅かな数の人夫を引き連れ現れた淀屋はさっそく工事を始めました。巨石には一切手を触れず、なんと大きな穴を掘り始めたのです。そしてテコの原理を利用して10トン以上はあろうかという巨石を軽々と穴に落とし、撤去作業は瞬く間に終わってしまったのです。

これに興味をもった秀吉は淀屋に淀川の治水工事を任せました。すると淀屋は高い木の上に登って淀川を俯瞰しながら工事を指揮し僅か数ヶ月で堤防を築いたそうです。これによって秀吉の信頼を得た淀屋は以後、自由に商売をする特権を得たといいます。その後、淀屋は淀川の中洲にあった中之島の埋め立て許可を幕府に願い出ました。なんと淀屋はすべて工事費用を負担したいと申し出たのです。
その後、埋め立てが完成すると淀屋の目測どおり中之島は日本中の米を商いする物流の拠点となりました。各藩はこぞって藩倉を建設したと言います。さらには歴史上はじめての米の先物取引を幕府に提言、その許可を得て実施したところ、またもや淀屋の目測通り米をはじめとする物価の安定に寄与したのです。こうして秀吉、その後も家康の信頼を得て大阪を「天下の台所」と呼ばれる一大商都に発展させて行ったのです。

力点よりも支点が重要

淀屋はテコの原理を商売に応用して成功を収めた人物とはいえなくないでしょうか?にテコの原理である3つの支点・力点・作用点をそれぞれ視点、投資、結果に置き換えて見れば、淀屋は、誰も思いつかない方法で巨石を撤去、短期間で淀川の治水工事を完成、身銭を叩いて中之島を埋め立て莫大な商売を得る、損を覚悟で米の先物取引で物価を安定させたなど、どれ一つ取ってみても、小さな投資(金・時間・労力)で最大の結果を得るための最適な視点を考え抜いた人であったと言えます

梃子(テコ)の原理を人生の成功に応用する

しかし淀屋の一見奇抜な発想は同時代の権力者や他の豪商との発想とは全く違うものでした。このことは私たちが信じて疑わない常識というものにこそ大きな落とし穴(危険性)が潜んでいることを教えています。言い換えれば常識とは発想力の乏しい人たちが過去の慣習や慣例を踏襲しているだけの考え方であるとも言えます。

このことから力点よりも支点、つまり投資(金・時間・労力)の大きさよりもどこに視点を置くかの方がより重要であることを教えています。目の前の問題を今持てる能力で解決していく習慣こそテコの原理を人生の成功に応用する方法だと思います。

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