■ 山の頂に登るには無数の道が存在する

山の頂に登るには無数の道が存在する Many ways to climb the mountain

 
【生物学の常識を覆す発見】
 
またしても日本人が業界のみならず生物学そのものの常識を覆す発見をした。理化学研究所(神戸市)の小保方晴子氏(おぼかたはるこ)(30歳)のグループがまったく画期的な方法でマウスで万能細胞を作ることに成功したと30日付の英科学誌ネイチャーに発表された。以下はそのその賞賛の声。
 
  • 「重要な研究成果が日本人研究者によって発信されたことを誇りに思う」(京都大学の山中伸弥教授)
  • 「信じられない。大きな刺激を受けた」(京都大学の山中伸弥教授の下でips細胞を作製した高橋和利講師)
  • 「また日本人が万能細胞の作製法を書き換えた。どれだけ簡単になるんだ」(英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのクリス・メイソン教授)
  • 「幹細胞生物学の新時代の幕開けだ)。年内に人のSTAP細胞を作っても驚かない」(ロンドン大キングズ・カレッジの研究者)

 

植物には再生能力がある。木の枝を切って水につけると断面から根が出てくる。切断という刺激によって万能細胞が表面にできあがり、根の細胞に成長するためだ。トカゲも尾が切れると再生するが、これも同様の仕組みがあると考えられる。しかし哺乳類では、植物のように簡単には万能細胞はできないと考えられてきた。
 
これが今までの生物学の常識だった。小保方晴子氏はマウスの血液細胞(リンパ球)を弱い酸性の液体に浸せばよいことを見つけた。早稲田大学で化学工学を専攻し、生物学の常識にとらわれない発想がSTAP(スタップ)細胞という名の万能細胞を生み出した。しかし小保方晴子氏にとってこれまでの道のりは決して平坦なものではなかった。
(生物学の常識覆す 理研の万能細胞 2014/1/30 0:30  日本経済新聞 電子版)
 

【専門家の常識を覆す発見】
 
彼女たちのチームは当初、科学雑誌Natureに論文を提出したがまったく相手にされなかった。そして海外の研究者からは「あなたは何百年という細胞生物学の歴史を愚弄している」。という内容の手紙をもらった。しかし彼女は決して諦めなかった。
やめてやると思った日も、泣き明かした夜も数知れないですが、今日一日、明日一日だけ頑張ろうと思ってやっていたら、5年が過ぎていました」。「あきらめようと思ったときに、助けてくれる先生たちに出会ったことが幸運だった」。
理研の笹井芳樹・副センター長は「化学系の出身で、生物学の先入観がなく、データを信じて独自の考えをもっていた。真実に近づく力と、やり抜く力を持っていた」と分析する
(新しい万能細胞作製に成功 ips細胞より簡易 理研 2014年1月29日21時17分 朝日新聞DIGITAL)
一般的に専門的な高等教育を受ければ受けるほどその専門的常識が身についてしまうとも言える。その中に身を置いて革新を模索しても長く培った「常識」なるものが邪魔をしてその常識をベースにした「発想」しか出来なくなるように思う。これが専門家のジレンマなのである。彼女には専門家が陥りやすい「常識の罠」にはまらなかったことが幸いしたのかもしれない。
【専門家の常識をを覆す発明】
 
もう一方、クリーンエネルギー革命を興した門外漢がいる。まったく新しい発想で風力発電機を発明した人である。栃木県のグローバルエナジー社長の鈴木政彦氏だ。もともと自動車部品の下請け工場を経営してきた鈴木さんは下請けを脱却するためにまったく新しいエネルギー産業に参入することを考えた。一から流体力学を勉強し、どの専門家も発想すらしなかった新しい風車を試行錯誤の末作り出した。それがこんな風車だ。
 
Horizontal-axis SmallWind Turbines
垂直軸型ベルシオン式風力発電機(直径2.0m、翼長2.7m 八丈町役場内に設置)
 
なんとこの風車は垂直軸型ベルシオン式風力発電機と命名されているように従来型のプロペラ型の羽とはまったく形状も構造も違う。同じ風力での実験ではプロペラ型が風力が止まると同時にその動きを止めるが、ベルシオン型は止まらずまだ動き続ける。それは微弱な風力でも発電できることを意味している。しかも大変静かだそうだ。
 
Compatible_Wind_Turbines
現在多く普及している水平軸プロペラ型普及機(直径4.0m、翼長77m、高さ70m 鳥取県北栄町)
 
東京都の八丈町といくつかの企業に納入して以来、その革新的で費用対効果の高い垂直軸型ベルシオン型は韓国のベンチャーがライセンス購入するなど、海外にも可能性が広がり始めているところだ。しかもなんと次なる夢は小型のベルシオン式飛行機を世の中に出そうとしているのだ。
 
flying_boat_by_globalEnergy
ベルシオン式飛行艇
 
鈴木氏は何千という試作機を作っては壊しながら、最良のものを模索しながら決して諦めなかった。曰く、「
試行錯誤して失敗したことは失敗とは言いません。絶えず良いものを作るための学習なのです。本当の失敗とは諦めて止めてしまうことです。諦めなければ夢はかないます。
 
およそ世の中に正解など一つもない。専門家の常識もただ今までの常識に過ぎない。自分を信じる力とそれをやり抜こうとする意思。そして諦めそうになったときそれを助けてくれる周りの人がいること。どうやらこれらは人生を生き抜く重要なキーワードのようだ。

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