■山崎豊子追悼寄稿(社会問題を顕在化し続けた偉大なる作家)

■ 山崎豊子追悼寄稿(社会問題を顕在化し続けた偉大なる作家

【私は白い巨塔で山崎作品に衝撃を受け、以来、作品に大きな感動をいただいてきた

私にとって山崎豊子氏は類まれなる偉大な作家でした。私が先生を初めて知ったのは1978年の白い巨塔のドラマだった。大学病院の権力争いという医療の暗部を描いた作品であった。何と言っても主役に抜擢された国立浪速大学第一外科助教授・財前五郎役の田宮二郎の強烈な印象を今でも鮮明に覚えている。田宮二郎の当たり役だったと思う。その後、田宮は銃で頭を打ち抜いて自殺してしまう。調べてみると白い巨塔は以下のような主役にてドラマ化されている。
  • 1967年 NET・東映テレビプロ制作 全26回 主演:佐藤 慶
  • 1978年 田宮企画・フジプロダクション制作 全31回 主演:田宮二郎
  • 1990年 テレビ朝日・大野木オフィス制作 全2回 主演:村上弘明
  • 2003年 フジテレビ・共同テレビ制作 全21回 主演:唐沢寿明
  • 2007年 MBC・KIMJONGHAK PRODUCTION制作 主演:キム・ミョンミン


【白い巨塔の名場面集】 

1978年 田宮企画・フジプロダクション制作 全31回 主演:田宮二郎
医局長総回診の場面(白い巨塔 田宮二郎 1978年)

1978年 田宮企画・フジプロダクション制作 全31回 主演:田宮二郎

DVD(白い巨塔 田宮二郎 1978年)

2003年 フジテレビ・共同テレビ制作 全21回 主演:唐沢寿明
医局長総回診の場面(白い巨塔 唐沢寿明 2003年)

2003年 フジテレビ・共同テレビ制作 全21回 主演:唐沢寿明

DVD(白い巨塔 唐沢寿明 2003年)

2007年 MBC・KIMJONGHAK PRODUCTION制作 主演:キム・ミョンミン

医局長総回診の場面(白い巨塔 キム・ミョンミン 2007年)

2007年 MBC・KIMJONGHAK PRODUCTION制作 主演:キム・ミョンミン

DVD(白い巨塔 キム・ミョンミン 2007年)


【山崎豊子の代表作品】

また1965年以降の先生の作品は以下のように小説、ドラマ、映画化されている。少しまとめてみた。

白い巨塔

医局制度や医療過誤問題などの医学界の腐敗を鋭く追及した作品。1965年から1969年まで新潮社より出版され、映画とドラマ化された。

華麗なる一族

政財官界の癒着を描いた作品。1973年に新潮社より出版され、映画ととドラマ化された。
 
不毛地帯

シベリアから帰還した将校が、商社マンとして国際商戦という名の戦いをいどむ作品。1976年から1978年まで新潮社で出版され、映画とドラマ化された。
      
二つの祖国
          
太平洋戦争で敵味方に戦った日系アメリカ人家族の悲劇を浮き彫りにした作品。1983年に新潮社より出版され、ドラマ化された。

大地の子

日中共同巨大プロジェクトに供に働くこととなる中国残留日本人孤児とその実父の時代に翻弄される親子を通じて戦争の悲劇を見つめた作品。1991年に文藝春秋に連載され、ドラマ化された。            

沈まぬ太陽
日航機墜落事故を巡り繰り広げられる日本航空の人命に対する社会倫理を浮き彫りにした作品。1999年に新潮社より出版され、映画化された。
            
運命の人
沖縄返還密約事件”と呼ばれる約40年前に実際に起こった事件を基にした作品。2009年に 文藝春秋に連載され、ドラマ化された。


【社会問題を顕在化し続けた偉大な作家】

私はその多くを見てきた。どれも大きな国家間、あるいは日本の社会問題に鋭くメスを入れた作品だ。先生の問題の核心を浮き彫りにしようとする執念とその綿密な取材、そして独自な脚色のどれが欠けてもこれほど多くの人々の心を打つ山崎作品にはならなかったと思う。

とりわけ「大地の子」は素晴らしかった。全シリーズを都合3回はリピートして見ただろうか。今回調べてみて知ったのだが先生はこの取材と執筆のために3年間中国に滞在したことを初めて知
った。感動を生み出す素晴らしい作品の影には作者のゆるぎない覚悟とたゆまぬ努力の上に出来上がることを改めて教えてもらったようだ。これはどの分野のどの仕事にも通じる職業人としての姿勢であろう。

新潮社広報宣伝部によると、山崎さんは週刊新潮で連載小説「約束の海」を執筆中で、予定している第1部の20回分を既に書き終えており続編への意欲を見せていたという。その遺作の発表も楽しみである。
最後に、先生のご冥福をお祈りいたします。素晴らしい作品を残していただき本当に感謝いたします。

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