■ 近くウナギ戦争勃発か?

■  近くウナギ戦争勃発か?

【ウナギ戦争勃発前夜】

2011年にウナギの稚魚不良によるウナギ価格高騰のニュースが流れてから年々、土用の丑の時期になるとウナギの話題が危機感をつのらせている。実は2012年来、日本経済新聞社のウナギ追跡チームがウナギの動向を世界中で追っているのです。いわゆるウナギ戦争の従軍記者ですね。
まずは前回の投稿の■ ニホンウナギが絶滅危惧種に指定?の続きから。国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧種(レッドリスト)に指定するかどうかの検討を始めたとありましたが、その結果が秋には発表されることが決まりました。もしニホンウナギがレッドリストに登録されることになったら国際取引を規制するワシントン条約の議論にも影響することとなり、今までのように土用の丑にはウナギが当たり前などと言っている場合ではなくなるでしょう。日本人はこの先クジラ、マグロに続き、国際社会との新たなウナギ戦争へと引き込まれることは必至です。


【土用の丑にウナギは江戸時代の商業戦略】


皆さんはご存知だろうか?ウナギが土用の丑(7月下旬)の食べられるようになったいきさつを?それが単なる語呂合わせの商業主義の産物であったことを?そもそもウナギの旬は冬眠に向けてエサを食べ込む秋なのです。一番脂の乗った時が魚の旬なのです。時代をさかのぼること江戸時代には秋がウナギの売り上げピークでした。それまで夏にウナギを食べる習慣は無く、売り上げの減少を何とか回復させたいとウナギ屋の店主達が白羽の矢を立てたのが当時知識人として名を馳せた平賀源内でした。
源内は丑の日に(ウ)のつく(ウナギ)を食べることで食欲の落ちる夏バテを防止するという提案をしたというのが定説となっています。つまりこの食習慣の起源は、夏に売り上げの落ちるウナギを売るための商業戦略だったのです。これによって漁師、卸問屋、小売業者、ウナギ店主達が喜んだのは言うまでもありません。
【ウナギ高騰の経緯】
ウナギが高騰した経緯については日本経済新聞社ウナギ戦争の従軍記者の記事を下記のとおり引用させていただきます。

『現在、日本人が食べているウナギは99%以上が養殖ウナギだ。養殖に使う稚魚のシラスウナギは日本の南方2500キロの西マリアナ海域でふ化した後、海流に乗り、冬から春に日本の河川にやってくる。養殖業者はこの時期に捕れたシラスを仕入れ、成魚に育てて出荷する。ビニールハウスでボイラーをたき、エサを大量に与え、自然界では3~10年かかる工程を半年でこなす力業。高値で売れる丑の日に間に合わせるためだ。』

 1990年代から2000年代前半にかけて、低価格を武器にした中国産の冷凍かば焼きの輸入が急増した。日本でも負けじと大型加工場が次々と建った。大型スーパーやファストフードもお手ごろ価格のウナギを扱い始め、晴れの日の食材だったウナギは、ワンコインで調達できる日常食に様変わりした。

 行き過ぎた商業主義のツケが噴出したのは一昨年だ。需要期の夏を過ぎてもウナギの値段が下がらなくなった。その冬、稚魚が深刻な不漁になるとウナギ相場は高騰した。昨年春には前年同期の2倍になり、ウナギ店の値上げや廃業が相次いだ。稚魚の不漁は過去の乱獲が原因とみられている。』 (ウナギ瀬戸際 それでも食卓へ 日本経済新聞社 電子版 2013/07/16)


【ウナギ戦争前線では】

現在、ウナギ戦争が勃発していると言っても過言ではありません。世界で最もウナギを消費しているのは日本人、その需要を満たすために商社は世界中からウナギを調達しているのです。今やウナギは値千金なのです。つまり金になる木、それがウナギなのです。日本企業も輸入ばかりに頼ってはいられません。自ら海外に工場を建設し、養殖・加工・輸入を行っています。

どうやらニホンウナギの代替候補の筆頭は東南アジアに生息するビカーラ種だそうで、既に大手スーパーの店頭にも登場しておいますが、ニホンウナギに比べると体長が短く、皮が厚いのですが、かば焼きになると簡単には見分けがつかないそうです。しかも価格は1尾千円以下。ニホンウナギより500円以上安いそうです。インドネシアに進出している熊本県のある企業の社長は、「かば焼きは年間90トン生産している。取引先からあるだけすべて欲しいと言われる」と言っています。いかに過激なウナギ戦争が勃発しているかが分かります。
【ウナギ戦争を引き起こしたのは誰か】
ところでそもそもウナギ戦争という経済戦争を引き起こしたのは誰なのでしょう。それは他ならぬ日本人消費者なのです。「ウナギが高い、もっと安くしろ」、あるいは「ウナギが年中食べられるのは当たり前、いわんや土用の丑の日は」という要求をしているのは私たち消費者なのである。日本経済新聞社ウナギ戦争従軍記者もやはりウナギに対する今までの消費者マインドと要求を変えるべきではという下記のような意見です。

『安いウナギが大量に出回る時代は当分来ないとあきらめた方がいい。今、消費者としてできることは、ウナギを晴れの日の食材として認識し直し、特別な日に、相応の対価を払って食べることだ。ウナギは元来、日常食にはもったいない存在なのである。』 (ウナギ瀬戸際 それでも食卓へ 日本経済新聞社 電子版 2013/07/16)

土用の丑の日には、ニホンウナギを食べつくして絶滅危惧種までに追いやった我らが食習慣を反省して、「自分なら何か出来るだろう」と考えてみる日にしてはいかがだろう?最後に前回の投稿の最後に記した提案を再提案したいと思う。

例えば、東京湾、淀川、四万十川など各地に生息している天然のニホンウナギを、食べるためではなく種の保存のために捕獲し、種をつないでいく責任が日本人にはあるのではないだろうか?

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