■ 変化に対応出来る者だけが生き残る

和風総本家 


 【世界に誇る日本の職人技】


皆さんは和風総本家(TVO テレビ大阪)をご存知ですか?この番組は日本の伝統技やその文化を継承している職人にスポットを当て日本のよさを再発見するという趣向になっています。
5月9日(木)放送では伝統の職人技を応用して本物そっくりに作り上げる匠を紹介していた。実はそれらは模倣という域を超越して、本来とはまったく別の素材を使って別の造形物を作り上げると言った方が正しいように思った。
ある職人はハッポウスチロールで今は懐かしい昭和の赤色の郵便ポストや地下水を組み上げるときに使う緑色の手漕ぎ式ポンプを再現して見せた。驚いたことにそのポンプは本物と同じようにパーツを作り、それを組立て、そして時の風化で生じるであろう赤茶けた鉄錆まで塗色して見せた。
ある和菓子職人は上握りずし(マグロ、ハマチ、イカ、アジ、ウニ、イクラ、ガリ)を和菓子素材を駆使して完璧にまで本物を見紛うほうどに再現して見せた。
上にぎり寿司
ある家具職人は本物の10/1スケールで家具や家屋のミニチュアを作り、京都の町家と呼ばれる伝統的な家屋とその生活で実際に使用されていた家具だけでなく生活雑器などを再現して見せた。なんと障子も実際に開閉ができるし、和箪笥の引き出しも開閉できる。引き出しは指では掴めないので爪楊枝でひっかけて開閉するのである。

【伝統技は時代に合わせて変化し受け継がれる】

世界に誇る日本の職人技の超絶技巧を目の当たりにできる逸品が京都の清水三年坂美術館にある。それは高瀬好山の『鯉』。これは日本の金属工芸の最高峰と称されるもので、長さは29cm、銀で作られた鯉です。ヌルリとした頭部の感触。口元の見事な造形。髭まで再現され、まるで本物の鯉と見紛うばかりの姿なのです。
高瀬好山の『鯉』
しかも本物の鯉と同じように開く口。胸ヒレや腹ヒレも動きます。さらに驚くべきは鱗に覆われた胴体。まるで生きた魚のように身をくねらせることができるのです。
高瀬好山の『鯉』
実はこの技術はかつての甲冑製造技術の応用なのです。戦国時代には武将は敵の矢や刃から身を守るために甲冑を身に付けました。しかも同時に自由に手足を動かし、邪魔にならないことが甲冑には求められます。これは甲冑職人の匠の技によって可能となりました。
しかし平和な時代になると甲冑製造の注文は激減し、職人は仕事を失うだけでなく、その伝統技術も失われる危機に直面しました。そこで時代に合わせて金属工芸というニーズを掘り起こし工房を立ち上げたのが高瀬好山でした。これによってかつての甲冑職人は新たな分野で仕事と生活を継続できるだけでなく、伝統技を子孫に継承することに成功できたのです。
今まさに日本のものづくりの中心であった職人や中小企業が受注減少と後継者不足のため縮小と閉鎖を余儀なくされています。世界に誇る日本の職人技と心意気が失われて行くのは見るに忍びないことだと言えます。しかしかつての高瀬好山が仕事と伝統技を守り抜いたように、私たち一人一人にもピンチをチャンスに変える道が必ず隠されているはずです。

奇しくも進化論を書いたダーウィンもこう結論づけています。「自然界は強い種が生き残るのではない、変化に対応出来る種だけが生き残るのである」と。 

Charles Robert Darwin

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