■ 指揮官たる者は根拠のないことを言ってはならぬ(山本五十六)

先日、とあるテレビ番組 「正しい喧嘩の仕方」というものを見ました。その中である大学教授が、日本人は理論的に喧嘩をするのが弱く、すぐに感情論となってしまう国民性であると指摘をしておりました


別の言葉で言うと、議論における意見の対決が論理的に冷静に行うことに慣れていない国民性ということです。つまり議論のはずが議論ではなく感情的なぶつかり合いになっていくというものです。
その結果、あいつは好かない奴だ、あるいは嫌いだという感情となり、本来、単なる意見の食い違いが、人間関係の悪化につながるのが日本人の特性というのです。

従ってそれを避けるために、日本人は自然と自分の意見を言わない、あるいは事なかれ主義的な精神性を身につけてきたのかもしれません。つまり冷静に物事を議論だけで討論、解決することが苦手な国民性を持っているのかもしれません。
偶然にもその同日、洋画劇場、「山本五十六(いそろく)」を見ました。この人は正に理論的に喧嘩、つまり討論出来る人として描かれていたのです。ここに私たちが学ぶべきところがあるように思いますのでご紹介したいと思います。

山本五十六とは言わずと知れた連合艦隊長官ですが、その人物像は上下関係分け隔てなく同じ姿勢が貫かれていました。それは上司、あるいは時の政府大臣、そして部下に対しても、その意見の根拠は何かと尋ねるのです。
ある軍部と政府要人の戦略会議において、政府要人から戦争に勝利するための強硬な作戦を打ち出されました。誰も意見を言わぬ中で五十六だけが、今そのような強行路線を敷いても勝利するには不利であることを一つづつ具体的な根拠を上げて説明しました。その上で政府要人に対して「その作戦が勝利を導くという具体的な根拠をお示しいただきたい」と尋ねたのです。しかし政府用心は根拠を示すことなく感情論で振り切ったのでした。
またある船内会議中のことでした。艦船の指揮官である部下が「勝利は必ず我らの手にあるのですからその作戦を行うべきです」との強気の発言をしました。きっと彼は自分を含めて皆の士気を上げようとする意図があったのだと思います。五十六は、「その根拠は何か」と静かに尋ねたのです。すると部下は、「いえ、根拠はありません」と答えたので、五十六はすかさず、「指揮官たる者は根拠のないことを言ってはならぬ。」と釘を刺しました。
ご存知のとおり太平洋戦争の戦死者の内、7割程度が敗戦が明らかになってからの無用な自爆戦線でした。つまり何の勝算の根拠も持たないまま自分の意地や保身のために大日本帝国を統率してきた人々が、勝戦ではなく敗戦へのシナリオを描き、そして多くの無垢な若き日本人を死に追いやったのではないかと思っています。
山本五十六の「反対意見を言うときにはまず自ら根拠を示すこと」、そして「人の上に立つ者(指揮官たる者)は根拠のないことを言ってはならぬ。」との姿勢と言葉は今の私たちにとっても価千金ではないかと思います。

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