どうして現代医学は化学製剤(薬物療法)中心の医療になったのか?

身内の入院

先日、母親が38.5度以上の高熱を出し、地域の中核病院へ時間外診療に連れて行こうとした矢先、下痢と嘔吐が始まったので急遽、救急車を呼んでそのまま病院へ搬送してもらった。

追って病院へ駆けつけると母親は重篤レベルの高い急患としてすぐに診察を受けることができほっとした。当番医は消化器内科の医者で、診察をした後、私とこれから行う治療内容についてインフォームドコンセント(治療内容の説明と同意)のため短い会話をした。

当番医は嘔吐を止めるための薬剤と解熱剤を点滴するというものだった。私は症状の原因を確定できない段階で安易な解熱剤の使用は賛成できないと言った。そして「発熱は理由があっての生体反応なのですから」と付け加えた。医者は同意したようで、結果、嘔吐を止めるための薬剤のみの点滴させてくれということになった。

それから2時間あまりして点滴が終了し、当番医と再び会話をする。患者本人はまだ高熱のままで自立歩行できないほど衰弱していた。当番医は点滴、処方箋、自宅療養(帰宅)というのシナリオを描いていたようだったが、私がこのまま本人を帰宅させても身内のサポートは難しいと考え、入院の提案をした。すると当番医はCT検査を条件に入院を同意した。すでに救急車で運ばれて4時間が経過していた。

薬を飲まない薬剤師の本音

先日、本屋に立ち寄っていつもの平積みの新刊コーナーで興味深い本を手に取った。それは….

薬剤師は薬を飲まない

薬が病気をつくる

その一錠が脳をダメにする

この著者は宇田川久美子氏。薬科大学を卒業し、薬剤師免許を取り、薬剤師として20年間勤務していた薬剤師。そして現在、一般社団法人 国際感食協会の理事長を務めている人です。

私は直観で、『また一人勇気のある人が出たな』と思った。少しサイトで調べてみると彼女の講演会の文章起こしと動画が拝見することができた。その一部をご紹介します。

講演会ビデオ『薬が病気をつくる』宇多川久美子氏

「私は20年間白衣を着て薬剤師をしていました。….『今日から血圧のお薬を出しますよ。血圧のお薬は一生の付き合いですからね。勝手にやまないで下さいね。一緒に気長に直していきましょうね。』なんて言ってお薬を出していました。」

「しかし一生のお付き合いということは、薬は病気を治さないと、患者さんに言っていることと同じ。やって20年やって気が付きました。私はもうこれ以上、こんな人のためにならない仕事を続けていくことはできないと思いました。」

私がこの本で説いているのは二つです。それは、

あなたは薬を飲み続けますか

それより薬が要らない体を作っていきたいと思いませんか

化学製剤(薬物療法)中心の現代医療の起源

私は長く不思議に思っていたことがありました。それは医学というのは人体という自然を取り扱う自然科学であるのに、一体いつから石油由来成分で人工的に作り出した化学製剤を治療の中心にした医療システムが出来上がったのだろうかでした。その疑問は2015年にアメリカの医療史を紐解くことで解けました。実はこの起源は今からわずか100年前にさかのぼります。その概要をご紹介します。

1990年ごろには今とは違うさまざまな医療システムが共存していました。それらはほとんど自然医療システムでした。例えばカイロプラクティック(脊椎矯正療法)、ナチュロパシー(自然療法)、ホメオパシー(同種療法)、オステオパシー(手技療法、あるいは整体療法)、ハーバルメディスン(植物性由来製剤を利用した療法、あるいは漢方療法)、そしてアロパシー(対症療法)などです。それぞれ独立した医療哲学、生理学、病理学、調剤学があり、また治療家を育成する教育システムもありました。

その当時、アロパシー(対症療法)を推奨するアメリカ医学協会(American Medical Association-AMA)は他の医療システムに比べ組織力も財力も弱小でした。つまり国民にあまり支持されていない医療システムであったいうことが分かります。そして1910年ごろにはアメリカ医学協会は財政的に瀕死の状態になったのです。

ちょうどこの時代のアメリカ経済は石油王ロックフェラーと鉄鋼王カーネギーの二人勝ち状態でした。彼らは当然政界にも経済界にも大きな求心力と発言力を持っていたことは容易に想像できます。彼らは莫大な税金対策として納税免除特権のある財団法人に目を付けあいついで財団を設立しました。カーネギーがロックフェラー先んじてカーネギー財団(The Carnegie Foundation)を設立し、教育資金(ファンド)を起こします。続いてロックフェラーもロックフェラー財団 (The Rockefeller Foundation)を設立します。

Andrew Carnegie
John.D.Rockefeller

次の100年先まで成功できるビジネスは医療ビジネス

大成功を収めたビジネスマン、あるいはファミリーが次に先手を打つことと言えば、次の100年先まで成功できるビジネスは何かを探り、選定し、それに一気に資産を投資しようということでした。そして彼らは医療ビジネスにターゲットを絞ったのです。

しかもロックフェラーにとっては医療ビジネスは好都合でした。なぜなら石油王にとって石油資源を利用して化学製剤を作り、販売する製薬会社が起こせるからです。化学製剤を医療に使ってくれる医学協会に投資し、それをアメリカの医療システムの中心にするために政治献金(投資)をすることで次の100年先、いや未来永劫、利益が途切れることのない医療ビジネスを独占するヴィジョンが出来上がったのです。

そして間髪入れず、新しいビジネスモデルの構築のために莫大な投資と啓蒙戦略が開始されたのです。その投資額は数億ドルと言われています。また啓蒙戦略の産物は1910年に発表されたフレックスナー・レポートです。そのレポートの目的はアロパシー(対症療法)こそ正当な医療システムでありその他の医療システムは科学的根拠のないニセモノという啓蒙をすることでした。

これは現代医学システムの誕生であると同時に自然医学の死滅でした。またの名を医療マフィア(Medical Mafia)の誕生とも呼ばれています。では悲惨なその結果を見てみましょう。

現代医学システムの誕生と自然医学の死滅

1925年までに10,000人以上いたハーバリスト(植物性由来製剤を利用した療法、あるいは漢方療法を行う治療家)は職を失いました。

1940年までに1,500人以上のカイロプラクター(脊椎矯正療法を行う治療家)はインチキ療法として起訴されました。

1923年までに22あったホメオパシー(同種療法)の教育施設(学校)は2校にまで減少し、1950年までにはすべて消滅しました。

1950年までにはフレックスナー・レポートで承認された医学校を卒業したもののみがMDライセンス、つまり正当な医師免許を持つ医者という法的根拠が作られたのです。

Ty Bollinger interviewed with Dr.Darrel Wolfe, The truth about Cancer, 2014

言い換えれば、薬を作る者、それを処方する者、その両者のビジネスを許認可する者、つまり製薬会社、医師会、アメリカ食品医薬品局(US Food and Drug Administration)の三位一体の強固な医療ビジネスモデルが構築されたのです。こうして名実ともに化学製剤(薬物療法)中心の現代医学が国民の医療システムを独占する時代が幕を開けたのです。

2016年の現在、化学製剤(薬物療法)中心の医療システムは国民の医療にとってプライマリーケア、つまり治療の第1次選択、あるいは標準医療として常識化しています。100年前にカーネギーとロックフェラーが見た100年続く医療ビジネスのヴィジョンはみごとに的中し現実化されています。きっと草葉の陰でほくそ笑んでいるのでしょう。

現代医療に危機感を覚える

あなたは病気のとき医者が出す処方箋の薬が本当にあなたの身体を治していると信じていますか?

私は病気は薬ではなく私たち一人一人に備わっている内なる治癒力が治していることを自らの経験を通して信じています。そして多くの化学物質は体内に入ると内なる治癒力が働くことを阻害(じゃま)すると考えています。

しかも薬のプロである薬剤師の宇田川氏が言うように「薬が病気をつくる」が真実であれば、化学製剤にあまりにも依存する現在医療との付き合い方を考えざるを得ません。

私は現代医療に危機感を覚えます。それは治療はまるでとりあえずビールのように、とりあえず薬だからです。これは冒頭、母親の急患搬送と院内治療のお話をしたとおり、何が原因かを特定するのは後回しで、とりあえず出ている症状を抑える薬物を処方することが当たり前のように一般的に行われているからです。このような治療に医者も患者も誰も疑問を持たないのでしょうか?私は不思議でなりません。

多くの医者は検査結果(データ)と化学製剤(薬物)の効果(マニュアル)はよく見ますが、複数の化学製剤(薬物)を処方することによる生体の副反応(リスク)は当の医者にも予見できないばかりでなく、症状の原因となっている患者の生活様式(ライフスタイル)にはほとんど注視していないと感じています。

患者と医者と薬剤師に地位の優劣はありません。医療も世の中の産業、サービスの一つです。あなたが患者になったときには少なくとも信頼できる医者を選びましょう。あなたの病気と治療の説明をよく聞いて、わからなければ質問し、リスクを検討し、希望があれば提案し、そしてあなたのポリシー、哲学、人生観、死生観に基づいて最後はあなたが決断することなのです。

医者は治療の専門家、薬剤師は薬の専門家、そして私たちは医療消費者です。しかし医療の専門家も消費者もすべてがこの100年かけて構築されてきた巨大医療ビジネスという見えない蜘蛛の糸で身動きの自由を制限され、常識を疑う本能や感性を亡くしているように思います。薬を飲まない薬剤師の本音とはまさに非常識を伝える良識と覚悟だと思います。世の中が少しでも良くなれば、これが真実を知った者が真実を伝えようとする動機と責任感だと思います。

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