漁夫の利 (市場が成熟するのを待って傍観者がその利益を横からもぎ取る)

漁夫の利 (市場が成熟するのを待って傍観者がその利益を横からもぎ取る)
弊社公式ブログで私は今まで政治がらみの話はあまり書いてきませんでした。それは政治的関心がないからではなく、このブログではふさわしくないと考えてきたからです。先日の2016年6月1日に安倍政権は消費税率引き上げを2年半延期する決定をし、総理自ら会見をしその説明をしました。今まで安倍政府がアベノミクスで行ってきた増税に対して納得いかないことがあります。増税延期の会見直後のちょうどいい機会なのでその思いについて投稿したいと思います。

アベノミクスによる増税略歴

2014年4月1日 消費税率値上げ  5%から8%

2015年4月1日   軽自動車税値上げ 7,200円から10,800円(乗用:5ナンバー)

2016年4月1日 酒税値上げ検討中 焦点は税率の低い第3のビール(発泡酒)の税率値上げ

2016年6月1日 消費税率値上げ延期 2017年4月1日を2019年10月1日に

漁夫の利(ぎょふのり)

皆さんは漁夫の利(ぎょふのり)という故事を聞いたことがありますか。コトバンクによると次のように記載されています。

『シギとハマグリが争っているのを利用して、漁夫が両方ともつかまえたという(「戦国策」燕策の故事)』

両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすることのたとえ。

つまり漁夫の利とは、AとBが争っている間に、周りで傍観していたCが、AとBの争いが膠着状態になった隙に乗じて、AとBの双方の利権を奪う様のことです。もっといえばCはまったく体力も努力も消費することなく、他人の利権をまんまと略奪するという意味になります。

市場拡大を要求した当事者A(平均的な家庭)

ところで今や善良な日本国民の大半は経済的に余裕はありません。節約しながら家計をやりくりしています。ちょっと日本の平均的な家庭を思い浮かべてみてください。夫婦と子供二人の4人家族と犬と猫それぞれ一匹。

市場拡大を要求した当事者A(平均的な家庭)

市場拡大を要求した当事者A(平均的な家庭

マイホームは30年ローン、マイカー1台、家計の中心である夫婦、夫は仕事で忙しく、妻は家庭と子育てに忙しく、週に1回家族そろってちょっと奮発してレストランで外食、盆と正月の里帰り、家計をやりくりしながら子供を育てとても自分たちの老後の蓄えに回す経済的余裕などありません。そうこうしているうちに親の介護が始まります。

家計の節約のためには少しでも価格の安い車、最低家族4人が乗れる燃費のいい車、2年に1回義務付けれらている車検費用と重量税の安い車に人気が高まるのも至極当然のなりゆきです。このような経済的な理由から、軽自動車の販売数が増大し、軽自動車という市場を作り上げたのは、ほかならぬ日本の平均的な家庭なのです。そして低価格で機能性の高い軽自動車が数多く開発されたのも同様に車メーカーの消費者ニーズに応える企業努力のたまものと言わざるを得ません。

市場拡大を要求した当事者A(平均的な家庭)

市場拡大を要求した当事者A(平均的な家庭

市場拡大に応えた当事者B(メーカー企業)

一方で酒造メーカーは年々上昇する年貢(酒税)に頭を悩ませていました。その年貢は麦芽比率が高いほど税率が高いのです。例えば、税制上区分は麦芽比率によって「50%以上」「50%未満〜25%以上」「25%未満」の3種あります。

市場拡大に応えた当事者B(メーカー)

市場拡大に応えた当事者B(メーカー企業

そこで最も年貢(税率)低い麦芽比率「25%未満」の新酒を長い年月をかけて開発したのです。それが発泡酒と呼ばれる第3のビールです。第3のビールもまた同様の理由で、その市場を作り上げたのは、ほかならぬ日本の平均的な家庭なのです。そして低価格で美味しい第3のビールが数多く開発されたのも同様に酒造メーカーの消費者ニーズに応える企業努力のたまものと言わざるを得ません。

参照リンク:ビール税、引き下げを検討 第3のビールなどは増税 「企業努力なのに」と批判も

市場拡大の漁夫の利を得た傍観者C(政府)

ところがある者は軽自動車と第3のビールの市場の拡大のようすを傍観していました。ただ傍観していたわけではありません。この市場から利益を得てやろうと狙っていたのです。そしてその市場が出来上がったと見るや、明日から年貢(税金)を納めよ。このとおり証文(法律)に書かれておる、もう決まったことである、誰も逆らうことはできぬ。

漁夫の利 (市場が成熟するのを待って傍観者がその利益を横からもぎ取る)

市場拡大の漁夫の利を得た傍観者C(政府)

2016年6月1日、安倍総理は国会の会期末に合わせて会見しこう述べました。

「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」

参照リンク:首相 会見で消費税率引き上げ2年半再延期を表明(NHK NEWS WEB)

ではこう反論したい。

日本の平均的な家庭が家計を節約するために普通車から軽自動車に乗り換え、ビールから発泡酒に乗り換えてきた努力とまたそれに応えようと開発した企業努力の相乗効果によって誕生した軽自動車と発泡酒の内需拡大に対し、増税という形で市場の利益を奪いとってきたのはあなたではないか。

これを漁夫の利と言わずに何と言いましょうか。まるで当事者が切磋琢磨の結果、作り上げてきた市場が成熟するのを待って、傍観者が列に並ばないで突然横から割り込んでその利益をもぎ取るようなものです。

平均的な国民が自ら考え、節約し、努力をした結果、作り上げた文化や市場。その市場が成熟したころにある日突然政府がやってきて自ら作り上げた証文(法律)を持って利益を奪い取るようなことをすれば平均的な国民はこの政府の下にいる限りいつまでたっても自らの努力が報われないことを悟るでしょう。安倍さんは「内需を腰折れさせかねない」と他人事のように言っていますが、その張本人はあなたの政策、アベノミクスなのです。

さて皆さまはこの漁夫の利をどう思われますか?

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