■ 自分の信念に謙虚であれ、人の信念を盲信するなかれ

■自分の信念に謙虚であれ、人の信念を盲信するなかれ Be humble to your beliefs, don't be blind to other's beliefs

【誤解のプロセス】

皆さんはアヒルが雛から孵ったときに最初に目にした物体が母親だと認識することをご存知でしょうか?これは「刷り込み」という学術的な言葉で呼ばれています。もう少し詳しくいうと、ヒナが、卵(たまご)をわって出てきたときに、「はじめて見たもの」、「動いているもの」、「声を出すもの」を自分の親だと認識するそうです。まずはこの映像をご覧ください。
ローレンツの刷り込み実験

【刷り込み imprinting


刷り込みとは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象と定義され、刻印づけ(インプリンティング)とも呼ばれています。

オーストリアのコンラート・ローレンツはこの研究を続け著作で大衆化したのですが、その著書によると、彼はハイイロガンの卵を人工孵化してガチョウに育てさせようと実験をしたそうです。そしてガチョウが孵化させた雛はガチョウの後について歩くようになりました。

ところが一つの卵だけを自分の目の前で孵化させたところ、その雛は彼を追いかけるようになり、ガチョウのふところへ押し込んでも、他の雛がガチョウについて行くのに、その雛だけは彼を追ったという実験結果が記述されています。

先のビデオはTCA/ECOというアカウントの方がローレンツ刷り込み実験を追試した映像のようですが、残念ながらプロフィールが掲載されていないので映像の真偽の程は保障できかねます。しかしながら誤解発生のプロセス、あるいは錯覚発生のプロセスを見るには十分な映像だと思いませんか。

【盲人が象を触る】

誤解や錯覚はカモやガチョウに限ったことではありません。私たち人間にとってもそれは日常茶飯事です。人がいかに誤解や錯覚を生み出すのかを象徴した古いことわざがあります。それは「盲人象を触る」です。
盲人4名が生まれて初めて象というものを触り、象というものを誤解、あるいは錯覚するまさにそのタイミングを切り取った図です。悲しいことにそれぞれ自分が一番正しいと思っていて、その最初の認識は生涯にわたって続くます。本当の象の姿を見るまでは…しかし盲人にとってそれが叶うことはないのです。彼らのセリフから錯覚のプロセスが見て取れます。それは…..

盲人が像を触る(誤解発生のプロセス)
盲人が像を触る(誤解発生のプロセス)

  • 盲人A(左):ほう、象というのは大きな蛇のようじゃのう。
  • 盲人B:いや、象というのは木の幹のようじゃ。
  • 盲人C:何を言っとるか!象は薄くて硬い革のようなものじゃ。
  • 盲人D(右):おまえらみな間違っとる!象というものは小さなネズミのようなものじゃ。
生まれ持った性格にもよるのでしょうが、盲人Cは他の誤解を批判しています。盲人Dに至っては自分が一番正しく他はみな間違っていると決めつけています。
この古いことわざが教訓として伝えようとしていることは、人は物事も全体の姿を見てもいないのに、自分が触った場所、あるいは経験したことがその全体像だと錯覚するものだということです。さらに悪いことは自分が一番正しいと思い込むことです。そして他を間違っていると批判したり、さらには自分が批判を受けたら攻撃までして批判者を抹殺するまでに事態は悪化します。
こうして見るとカモやガチョウの本能的錯覚のプロセスなどは可愛いもので、この地球にあって人間ほど本能的に錯覚をする、そして他を排斥、抹殺するような残虐性を持つ哺乳類は他に例を見ないと思われます。それは歴史が証明しているでしょう。
このように私たちは絶えず誤解と錯覚を繰り返す本性を持っていると理解してはいかがでしょう。そして自分が経験と体験したことはその全体像のほんの一部であると理解してはいかがでしょう。その小さな体験をもとに自分の信じているものが一番正しいなどとは思わないようにしてはいかがでしょう。よもやそれとは違うものを批判したり排除することも思わないようしてはいかがでしょう。
自分の信念に謙虚であれ、人の信念を盲信するなかれ

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